酸化亜鉛は、肌につける軟膏などに昔から使われていて、安全性の高いものだと言われてきました。
亜鉛華軟膏は昔から用いられている
たとえば、亜鉛華軟膏、亜鉛華デンプンなんて昔から皮膚科でもよく出されます。つまり「医薬品」として用いられています。
これはどういう効能があるからかというと、湿疹とか皮膚炎とか、かぶれ、あせも、かゆみなど、皮膚の炎症に対して用いられることが多いようです。
特に、ステロイドを使いたくない、という場合ですね。だから赤ちゃんのおむつかぶれに用いられることも多いです。
日焼け止めやミネラルファンデにも
あとこれはもっと最近のことかもしれませんが、日焼け止めやミネラルファンデーションにも用いられています。
日焼け止めやミネラルファンデーションには、紫外線カット、制汗、抗菌のために用いられています。
以上が酸化亜鉛の効果なのですが、じゃあ安全性はどうかということですね。
亜鉛華軟膏を「使ってはいけない」場合
亜鉛華軟膏の方は、昔から医薬品として用いられているので、安全性はひとまず心配ないと考えられます。
ただもちろん、「使ってはいけない」状況もあります。
たとえば、「重度または広範囲のやけど」の場合は用いてはならないとされています。
なぜかというと、酸化亜鉛には皮膚を乾燥させる作用があるからです。
ひどい火傷の場合、皮膚を乾燥させると悪化してしまいますので、亜鉛華軟膏は使ってはいけない、ということになります。
また、当然のことながら、どんな物質であれ、人によって「合う、合わない」はあります。
だから使ってみてかえって悪化したとか、健康な肌にパッチテストとして塗ってみたら赤くなったり痒くなったりしたとかであれば、それは使わないほうが良い、ということになります。
活性酸素の問題
ここまでは昔から使われている亜鉛華軟膏の話ですが・・・日焼け止めやファンデーションに用いられている酸化亜鉛には、さらなる問題を危惧する人も多いです。
それは「ナノ粒子化」された酸化亜鉛の危険性です。
1ミリメートルの1000分の1が1マイクロメートルです。
そのまた1000分の1が1ナノメートルです。
まあ1ミリの100万分の1ということですね。
それくらい小さい粒に加工されている酸化亜鉛が問題だと。
なぜ問題にされているのかというと、一つは活性酸素です。
酸化亜鉛の粒子は、粒を小さくするほど、紫外線に当たったときなどに活性酸素を生み出しやすくなります。
それはそうですよね。同じ量であれば、粒を小さくするほど表面積が増えるわけですから。
で、日焼け止めやミネラルファンデの場合、酸化亜鉛の粒が細かいことが多いんです。
そういうものって、粒が大きいとやっぱり・・・見た目もよくないですから。それに、粒が小さいほうが、紫外線カットの能力も高くなります。
そのかわり・・・活性酸素を生み出しやすくなると。
活性酸素は、細胞を傷つける、錆びさせるなんてよく言われますが、そういうものを顔にまんべんなく塗ってしまうのはどうなの?と懸念する人がいて当然です。
気になる場合はどうすればいいのか
なのでこの点が気になる場合は、粒の大きいものを選ぶか、あるいは、活性酸素を防ぐために、粒子の表面がコーティングされているものを選ぶ、ということになります。
日焼け止めやミネラルファンデには、酸化亜鉛ではなく酸化チタンが用いられていることもありますが、こちらも活性酸素を発生させますので、選び方は酸化亜鉛と同様、ということになります。
酸化亜鉛の毒性に関する実験
これら以外で、酸化亜鉛の安全性について調べたものとしては、中央労働災害防止協会が、厚生労働省の委託を受けて行ったものがあります。
こちらは、空気中に浮遊した酸化亜鉛のナノ粒子を吸い込み続けた場合と、あとは単純に酸化亜鉛を食べてしまった場合について調査しています。
たとえば、1立方メートルあたり50㎎の酸化亜鉛ナノ粒子が含まれている空気を、3時間ラットに呼吸させたところ、肺に炎症があらわれた、という実験結果があります。
実生活でこのような環境に置かれることは稀だとは思いますが、でも吸い込んで良いものではないという実験結果は出ているわけです。
経口投与、つまり食べさせるという実験も行われていますが、直径20ナノメートルの酸化亜鉛を、体重1キロあたり5gほど食べさせた結果、マウスの半数が死んでしまった、という実験結果もあります。
ただ、体重1キロあたり5グラムって・・・多すぎますよね。^^;
体重60キロの人間だと、300グラムの酸化亜鉛を食べるということになります。こちらの実験はちょっと、現実的ではないですね。
まあでも、食べちゃいけないくらいは、別に学者さんに実験してもらわなくても、素人考えでもわかりますよね。^^;
まとめ
ということで。
実験結果については、実生活ではまず心配しないでいいようなものなのでしょう。
気にしなければならないとしたら、日焼け止めやミネラルファンデーションに含まれている酸化亜鉛の活性酸素、ということになりそうです。
亜鉛華軟膏については、昔から医薬品として使われているものなので、用法用量を守っている限りは心配ないでしょう。