自己否定を良いこととする考え方もありますが、自己否定を有効利用できるのは限られた一部の人達だけです。
多くの人にとって自己否定は人生を駄目にする有害な行為でしかありません。
なんとかせねばなりません。
ということで、まずは人が自己否定的になってしまう原因から見ていきましょう。
大きな原因は3つ
- 遺伝子の影響
- 「日本人の常識」の影響
- 育ってきた環境の影響
この3つ。
まず遺伝子の影響というのは、日本人は遺伝子的に悲観的になりやすいということですね。
セロトニントランスポーター遺伝子なんて一時話題になりましたが、これにはLL型、SL型、SS型とあって、日本人は楽観タイプのLL型が特に少ない民族なんだとか。
もちろんこれですべてが決まるわけじゃありませんが、確実に影響はあるでしょう。
これによって、自己評価についても悲観的な方へ振れてしまうということ。
2つ目の「日本人の常識」というのは、昔からある「謙譲の美徳」とか、そういったものです。
つまり自分のことを、それどころか自分に近しい人までも、実際より「低く」「悪く」「未熟で」「劣っているように」言うのが「美しい」といった考え方です。
こういう考え方を子供の頃から明に暗に刷り込まれているので、最初は「美徳」のためであったものが、いつしか本当に「自分はダメだ」と思いこむようになってしまうということ。
言葉の力は侮れません。
3つ目は単純ですね。極端な話「お前はダメだ」と子供の頃から言われ続けていれば、高い自己評価を持つのは難しいということです。
また2つ目と3つ目、どちらにも関係ありますが、自己評価が低くなるような教育が意図的に行われてきた、ということもあるでしょう。
そのほうが、組織に対して従順な労働力がたくさん出来上がってくれるわけですから。
自己否定のメリット・デメリット
次に自己否定のメリットとデメリット。
もし自己否定が「高い自己評価」と組み合わさればメリットも大きいでしょう。
両方を持っている人は
「自分はまだまだこんなもんじゃない」
と「否定」して、前進していける人でしょうから。
しかし多くの人は、自己否定が
「自分はこんなもんじゃない」
ではなく
「どうせ自分はこんなもの…」
という低い自己評価につながってしまっています。
それではまったくメリットがないことになります。
スピリチュアル的に考えるなら、その「低い自己評価」にふさわしい人生が、延々と現実化していくという恐ろしいことになってしまいます。
まあわざわざスピリチュアル的に言わなくても、普通に考えても
「どうせ自分はだめなんだ」
と考えている人が、自ら自分の可能性を潰してしまうことはすぐにわかることです。
だからなんとしても、この自己否定的な傾向は克服せねばならない。
また、自己否定的な態度は人間関係にも悪影響を与えます。
周りの人に気を使わせてしまいますからね。それが続くと、周りの人は耐えられなくなって去っていくことでしょう。
自己否定克服法
じゃあどうやって克服すればいいのか?というのが次の話。
方法1:身口意
仏教には「身口意」という言葉があります。
- 身…動作、行為、行動
- 口…言葉
- 意…心
という意味です。
で、「自己否定的な傾向を変えよう」とするとき、多くの人は「意」の部分だけで変えようとします。
心の傾向なんだから心を変えればいいと思って、考え方とか感じ方とかをなんとか変えようとするわけです。
でもそれだけじゃ足りない。難しいんです。
だから「身口意」。
総合的に攻めようというのが仏教の考え方。
変えやすいのは「口」つまり言葉ですよね。自己否定的、自虐的な言葉は使わないようにする。
よく、冗談のつもりで自虐的なことを言っている人もいますが、それが許されるのは精神的超人だけです。
少なくとも、自己否定をやめたいと考えている人は、やっていいことではない。
変えやすいところから。まず言葉を変える。
よく「自分を含めてあらゆるものに対して、褒められる部分を見つけては積極的に褒めるといい」というのも、同じ考え方から来ています。
アファメーションとかもそうですね。
変えやすい部分、言葉を変える。
これは、自分が自己否定的な言葉を使わないだけでなく、外部のネガティブな言葉、情報も自分の中に入れないようにする、できる限りシャットアウトする、ということも含みます。
次に「身」。
これは最も簡単なこととしては「動作」を変えるのがよさそう。「姿勢を良くする」とか「さっそうと歩く」とかそんなことです。
それからよく言われることですが「笑顔」「笑い」。
作り笑顔を悪い事のように言う人もいますが、作り笑顔でいいんです。自分のためなんだから。笑顔によって脳も「楽しい」と錯覚するといいますし。
以上のような単純なことで「口」「身」を変えることで「意」も変えやすくなるというわけです。セルフイメージを高く保ちやすくなります。
方法2:インナーチャイルドを癒す
この方法については、akikoさんの動画を見たほうがわかりやすいです。
子供の頃・・・に限らず、過去に経験した悲しいことや悔しいことが癒やされぬまま心の奥底に押し込められ、それが自己否定の元になっている可能性があります。
そこで、過去の自分を思い出します。7年ごとに区切って、どんな悔しいこと悲しいことがあったかを思い出していく。
そうして、過去にあった悔しいこと悲しいことを思い出して「ああ、そういうことがあったんだね…」と認めてあげるだけで、そのことは自動的に癒やされていきます。
悔しいこと悲しいことがあった時、誰かに「わかってほしい」というのはありますよね。
自分自身の中にいる「子ども」がそういうことをたくさん抱えていると、それが、浮上しようとする心を引きずり落としてしまうということです。
そういう自分自身の中にいる子供に対して「わかってあげる」。それだけで癒やされて、自己否定的な傾向が薄れていきます。
方法3:自分を他人として見る
他人というと語弊がありそうですね。自分ではない誰かとしてみる。友人とか、恋人とか。
これは「自分のことを悪く言う」という日本人の精神的傾向を逆手に取る方法でもあります。
自分を、自分のこの肉体の中から見るのではなく、一歩退いて見る。背後から見る。自分にとって大切な友人や恋人として見る。
そうすると、その「他人」に対して、否定的な言葉をバカバカ浴びせることはできなくなるはずです。
些細なことでも褒めてあげたくなるでしょうし、落ち込んでいれば元気づけてあげたくなるはずです。
「今までよく頑張ってきたね」って抱きしめてあげたくもなるでしょう。
これまでたくさんの悲しみや苦しみや不安をのりこえてきたんだから。
目の前にいるのが「大切な人」なら、それが普通です。
自分を自分として見ることで見方が歪んでしまうなら、「大切な他人」として見ればいい。
スピリチュアル的には、「他人」ではなく、「ひとつ上の視点」から自分を見る、ということになるでしょう。
つまりハイヤーセルフの視点に立つこと。
方法4:スピリチュアルな知識を取り入れる
これはどういうことかというと、
「私たちはみんな、もとをたどれば神様から生まれてきた」
というあれです。
みんな同じ神様から出てきたのだから私たちはみんな神様と同じ存在。
だからその自分をバカにするということは神様をバカにすることと同じだし、自分以外のみんなをバカにすることでもある、という考え方です。
そういうスピリチュアルの基本的な考え方を認められるなら、もう自分自身を否定することはできなくなると思います。
方法5:瞑想
瞑想は「想いを瞑(つぶ)る」と書きますので、
「ああ、思考を消すのね」
と思ってやってみるのですが、それでは難しいというのがほとんどの人の感想でしょう。
ということで「思考を消そう」と躍起になるのではなく「思考に入り込まない」ことを心がけます。
自分の心に現れてくる思考を「眺める」ようにします。
「思考=自分」と考えるのではなく、思考に出てくる音声や映像を映画のように眺めます。
そうすることで、少しずつ「思考する」ことから離れることができます。
思考は自分ではなく観察の対象となり、その思考を映画のように「見ている自分」の方が本当の自分である、という感覚になってきます。
これは現世の自分に入り込んでしまうのではなく、視点を少しハイヤーセルフに近づけたということです。
ハイヤーセルフの視点から現世の「自分」を見るなら、その「自分」は100%愛すべき存在であり、「自己否定なんてとんでもない」ということになります。