まず最初にまとめておきましょう。
- 西暦…イエス・キリストが生まれたとされていた年の翌年を「元年」とする年代の数え方
- 紀元前・紀元後…西暦元年より前と西暦元年以後
- 世紀…西暦を100年ごとに区切って年代を数える方法
- 日本史における時代…政治の中心地から名付けられたものが多い
- 元号…もともと天皇が決めていた年代の呼び方
歴史で避けて通れないのが「いつ?」を表す数字とか呼び名ですので、これを説明しておきましょう。
西暦
まず、いちばんよく使うのが「西暦」です。語呂合わせで覚えたりするやつ。
西暦というのは、イエス・キリストが生まれたとされていた年の翌年を「西暦元年」として数える年代です。
ちなみにこの記事を書いている時点は西暦2019年です。^^
紀元前(BC)と紀元後(AD)
西暦元年の前の年は西暦0年ではなく「紀元前1年」です。そして紀元前は昔に行くほど数字が増えていきます。負の数みたいなものです。
西暦元年以降に「紀元」とか「紀元後」とかつける場合もあります。つまり今年は紀元後2019年です。まあつけないことのほうが多いけどね。
また、紀元前は「BC」と略します。「Before Christ(キリスト以前)」の略。
紀元後は「AD」と略します。「Anno Domini(主の年)」の略。
なぜか紀元前は英語で紀元後はラテン語。
なぜBCは英語でADはラテン語?
これは「西暦」を使い始めたのが1500年くらい前のキリスト教の人だったからで、それでキリスト教で用いられる言語であるラテン語によって紀元後は「Anno Domini(主の年)」と名付けられました。
で、キリスト教徒だからイエス・キリストが生まれて以後が大事なので、紀元前の方は特に気合い入れて名付けることもなかったと。
そして1500年以上前だから、「紀元後=AD」という呼び方はすっかり定着してしまいました。
でも後世の歴史学者さんは、紀元前の呼び方がないと不便なので、英語圏の学者さんは「BC=Before Christ(キリスト以前)」を使うようになりました。
そして英語は世界で最も使われる言語となりましたので、日本でもBCを採用しているわけです。
えっと、何の話でしたっけ?
そうそう、西暦と、紀元前、紀元後の話でした。
紀元前から紀元後に変わる頃の世界
ちなみにこの頃の日本はまだ弥生時代で、中国の皇帝に使者を送って金印をもらったなんて話がある時期です。
で、その中国は「漢」の時代ですが、漢は紀元前から紀元後に変わったころ一旦滅んで、前漢から後漢に変わります。
同じ頃地中海沿岸ではカエサル(シーザー)やクレオパトラなんて有名人が活躍し、その後ローマ帝国ができます。
イエスはローマの手で十字架にかけられます。
世紀
次によく使う「世紀」の説明。
これは西暦を100年ごとに区切った呼び方です。
- 西暦1年~100年…1世紀
- 西暦1901年~2000年…20世紀
ここ、よく間違えます。始まるのは1の位が「1」の年からです。「0」からスタートじゃありません。
18世紀は1701年からスタートであって1700年からではありません。
またたとえば「1980年は何世紀?」って聞かれると、「1980年」の千の位と百の位を見て「19世紀」と思ってしまう人もいます。ここも注意。
1980年は20世紀です。2019年は21世紀。
紀元前の世紀は紀元後をひっくり返すだけです。
- 紀元前1年~100年…紀元前1世紀
- 紀元前1901年~2000年…紀元前20世紀
となります。
時代
ここまでは世界史と共通でしたが、ここからは日本史特有の話となります。
まず時代の呼び方ですね。江戸時代とか、明治時代というあれ。
日本史の場合、時代の呼び名の多くは「政治の中心地の名前」となっています。
たとえば飛鳥時代、奈良時代、鎌倉時代、江戸時代などですね。
京都は複数の時代で中心となっていますのでまとめて「京都時代」とは呼ばず、平安時代、室町時代、安土桃山時代というふうに分けます。
また、東京が首都になってからは日本史と言っても最近の話になりますのでそのぶん中身も詳しくなって事件も人物も多い!
だからまとめて「東京時代」とすると中身が多すぎて困っちゃいますので、明治・大正・昭和・平成と元号で分けます。
それから、大昔はどこが中心だかよくわからないので、地名以外で呼んだりします。旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代ですね。
まあ弥生は地名ですけど、単に土器が見つかった場所というだけです。それで土器の名前となり、その土器の名前が時代の呼び名になった、ということ。
とりあえず古い方から並べておきましょう。
- 旧石器時代(先土器時代)
- 縄文時代
- 弥生時代
- 古墳時代
- 飛鳥時代
- 奈良時代
- 平安時代
- 鎌倉時代
- 室町時代
- 安土桃山時代
- 江戸時代
- 明治時代
- 大正時代
- 昭和時代
- 平成時代
元号
最後に「元号」ですが、これは現在では日本でしか採用されていない年代の呼び方です。
上の例でいうと、明治・大正・昭和・平成がそれにあたります。
これ、元々は中国で使われていたもので、日本もそれを真似したんですけど、それが645年です。
大化の改新が始まった年を「大化元年」としたのが最初。
中国の真似と言っても、中国と同じ元号を使ったのではなく、日本独自のものを作りました。
「日本は中国の支配下にある国じゃないぞ、中国と対等な国だぞ」
という主張が込められています。
元号はそもそも、「皇帝が時間も支配する」という意味で皇帝が決めていたものですから、日本の元号は日本で独自に作る必要があったわけです。
中国のものをそのまま使うと、皇帝の支配を受け入れることになっちゃいますから。
元号って誰が作るの?
で、日本の元号はもともと、天皇が作ることになっていたのですが、戦後はなぜか内閣が政令で定めると法律で決められてしまいました。
ということで平成と令和は内閣が決めた元号ということになります。非公式に天皇陛下のお許しを得ているのかもしれませんが。
今でこそ「一世一元の制」と言って、天皇が即位するごとに新しい元号が定められていますが、それは明治からの話です。
元号はいつ決めるの?
江戸時代以前は天皇が変わらなくても新しい元号が作られることも珍しくありませんでした。大きな事件があるたびに決めたりしていました。
たとえば、高品質な銅が見つかって朝廷に献上されたことを祝って「和銅」という元号が作られました。あの「和同開珎(わどうかいちん)」の和銅です。
元号に金属の名前をつけちゃったりということもあったわけですね。(笑)