サヤ取りというのは、2つの銘柄の価格差(サヤ)が広がったり縮んだりするのを利用して、利益をあげようというトレード方法です。
これだけではわかりにくいので、例を挙げて見てみましょう。
サヤ取りの例
たとえば、AとBという、似た値動きをする2つの銘柄があったとしましょう。
だいたい平均すると、AとBには200円の価格差(サヤ)があるとします。
で、今日チェックしたところ、Aが1100円、Bが800円でした。
これはいつもと比べて価格差が広がっているので、
・Aは1100円で売り
・Bは800円で買い
というように、価格差が縮まる、つまり「元に戻る」方に向かってエントリーします。
そうしてたとえば1週間後に
・Aが1150円
・Bが950円
というように価格差が縮んでいたとしたら・・・
・Aはマイナス50円
・Bはプラス150円
となり、合計すると「プラス100円」ということになりますね。
これが、サヤ取りで得られた利益ということになります。
価格差がいつもより縮んでいると感じたら、逆のエントリーをします。
でも・・・
これだけだとサヤ取りのメリットがわかりませんよね?
サヤ取りのメリット~大暴落に強い
「Bの買いだけにすればもっと儲かったんじゃない?」
って思いますよね。
このサヤ取りのメリットはどこにあるのかというと・・・
たとえば大暴落が起こった時。
暗黒の木曜日とか、ブラックマンデーとか、リーマンショックとかいろいろありますよね。
あと、戦争とか大災害とかも。
そういうときって、損切の猶予すらないことがほとんどです。
翌日ストップ安から始まっていたりして、その時点ですでに大幅の含み損。
そこで終わればいいけど、何日もストップ安が続いて損切りさせてもらえない、ということもありえます。
こんな時、サヤ取りをしていたらどうなるでしょう?
・Aは1100円で売り
・Bは800円で買い
こういうエントリーをしていたとして、その後、何日もストップ安が続くような大暴落が起こったとしたら?
たとえばAもBも「半値」まで下がってようやく落ち着いたとします。
・A…550円
・B…400円
このようになりました。ここでサヤ取りの結果を計算すると?
・Aは550円のプラス
・Bは400円のマイナス
合計すると、150円のプラスです。つまり、サヤ取りをしていた結果、
「大暴落なのに儲かった」
ということです。
これがサヤ取りの最大のメリット。相場全体が上げようが下げようが、利益を得られるということ。
まあ、利益を得られるとは限りませんが、「Bだけ買っていた」場合、大損失がでていたわけですよね。
とこらがサヤ取り状態にしていれば、Bの損をAの利益が打ち消してくれて、少なくとも「Bの買いだけ」の状態よりも得、ということになります。
「逃げる隙もない大暴落」
の際に、これは威力を発揮します。
注意点:個別株でのサヤ取りは…
ただ、気をつけなければならないこととしては、あくまで
「似た値動きをする2銘柄を選ぶこと」
です。
個別株でもそういうものはありますが、個別株の場合、片方だけが特別な事情で異常に動いてしまうことがないわけではありません。
たとえば、東京電力と関西電力でサヤ取りをしていて、東日本大震災を迎えた場合。
「東電売り」「関電買い」のポジションを取っていた人は大儲けしたでしょうが、同じサヤ取りでも逆のポジションを取っていたら・・・?
ということです。
だから、個別株でのサヤ取りは、不可能ではないにしろ、もともとのサヤ取りと比べると安全性は低い、ということになります。
サヤ取りにふさわしい銘柄
「もともとのサヤ取り」と書きましたが、もともとサヤ取りは、商品先物相場でよく行われていました。
たとえば大豆なら、限月(決済期限)の違う大豆を対象として、期先(期限が遠いもの)を売り、期近(期限が近いもの)を買いなどとするわけです。
同じ大豆だから、値動きが似るのは当然ですよね。特別の事情で片方だけ異常な動きをするということも考えにくい。同じ大豆なんだから。
だから非常に安全度が高かった。
でも今は、商品相場自体が活発ではないので、残念ながら商品先物のサヤ取りは儲けにくい状態となっています。
なので、日経225先物とTOPIX先物を対象としたり、FXで似た動きをするペアを対象とする人が多いです。
他にもいろいろあるのでしょうが、そこは「自分だけの秘密」ということも多いことでしょう。(笑)
次に。
サヤ取りのデメリット
サヤ取りのメリットは「大暴落に強い」ということでしたが、じゃあデメリットは何かということですね。
これは単純です。
「勝った時の利益が少ない」
AとBの例からもわかるとおり、Bが上がるのならBの買いだけやっている方が、利益は大きいですよね。
ということで、ローリスクにした分、リターンも減るというのがサヤ取りのデメリット・・・というかサヤ取りに限らず、どんなことにも通じることですね。^^