「免疫」というのは私たちの体にとっての「異物」を排除する、つまり害になりそうなものをやっつけるしくみのことです。
それを担当しているのが免疫細胞です。
白血球とは
で、免疫細胞にはいろいろと種類があるのですが、「敵をやっつける」ということで私たちが最初に学校で習ったのが「白血球」ですよね。
この白血球は、免疫細胞の中でどんな位置づけになるのかというと・・・なんと免疫細胞すべてを指し示す言葉なんです。
だからとりあえず、
免疫細胞=白血球
と思っておけばよさそうです。
免疫細胞3つのチーム
となると次は、「その白血球にどんな種類があるのか」ということですね。
これ、まず3種類にわけられます。
・単球
・顆粒球(かりゅうきゅう)
・リンパ球
顆粒球だけちょっと、漢字難しい。^^;
自然免疫=何でも屋さん
で、この3つのうち、「単球」「顆粒球」は「自然免疫」と言って、最初から私たちの体にスタンバイしてくれているものです。
「敵を見つけたらすぐ対処します!」
「どんな敵にも幅広く対処します!」
というチーム。
素早く仕事をしてくれる「何でも屋さん」というイメージ。
そのかわり「専門家」のように「特定分野にすごく強い」ということはありません。
素早く、広く、浅く
という感じですね。それが単球と顆粒球。
獲得免疫=専門家
これに対してリンパ球は「獲得免疫」と呼ばれます。こちらは「専門職」みたいなものです。
特定のウイルス専門、特定の細菌専門で働いてくれるわけですので、その専門分野については非常に強いということになります。
その代わり、対応が遅いです。
なぜかというと、専門家と言っても、敵を見つけたあとに「お勉強」を始めて、やっとこさ専門家になれるからです。
自然免疫のように、敵を見つける前からスタンバイしている、ということはできないんです。
「敵を見つけたあと、しばらく勉強時間をください!」
「勉強さえ終われば、みごと敵を倒してみせます!」
というのが獲得免疫=リンパ球の仕事ぶりということですね。
ただし、リンパ球の中にも自然免疫の仕事をする者がいますが、それは後で説明しましょう。
・単球
・顆粒球(かりゅうきゅう)
・リンパ球
ということでこの3チームについては大体わかりました。
まああれですね、名前が漢字のチームが「幅広く即対応チーム」で、カタカナのチームが「じっくりスペシャルに対応」と、大雑把におぼえておくとよさそうです。
全体的な仕組みとしては、
・自然免疫が即対応して問題が小さいうちに解決
・自然免疫の手に負えない場合は、自然免疫が「時間稼ぎ」
・その間に獲得免疫に準備をしてもらう
ということになります。
次は、それぞれのチームにどんな免疫細胞がいるのかを見ていきましょう。
単球チーム
マクロファージ(大食細胞、貪食細胞)
マクロファージは単球チームの中心的存在で、私たちの体内をなんと、アメーバのように移動して仕事をします。
どんな仕事かといいますと、細菌とかウイルスなど、病原体を食べてやっつけたり、死んだ細胞を食べて掃除したりしてくれます。
なので別名「大食細胞」「貪食細胞」と呼ばれます。マクロファージは大食らいというわけです。
食べてばかりではなく、獲得免疫チームつまり専門家チームにメッセージを送ることもします。
「こんな敵を見つけましたから、専門家チームの方で調査して対処してください!」
と、手紙を書くわけですね。この仕事を「抗原提示」といいます。
「こんな抗原を見つけましたよ!」と提示するというわけ。
樹状細胞
で、マクロファージが書いた手紙を持って、獲得免疫チームのところに走るのが樹状細胞の役割となります。いわば伝令ですね。
まわりに突起を伸ばしている形をしているので「樹状」と呼ばれるようになりました。
顆粒球チーム
好中球
好中球は顆粒球チームの中心メンバーです。顆粒球チームの9割以上は好中球だと言われています。
好中球はマクロファージと似ていて、体内をアメーバのように移動します。そうして、細菌や真菌(カビ)が侵入してきたところに最初に駆けつけ、こいつらを食べてしまいます。
「緊急展開部隊」というわけですね。
得意な相手はブドウ球菌、連鎖球菌、緑膿菌、大腸菌など、「化膿菌」と呼ばれる細菌たちです。
好酸球
こちらは自分よりはるかに大きい寄生虫を戦いの相手としていましたが、寄生虫が珍しくなってしまった今、仕事がなくなったせいか、アレルギーを引き起こすのに力を貸しているのではないかと考えられています。
好塩基球
好塩基球は以前見た肥満細胞と似た働きをします。
主な戦いの相手は寄生虫でしたが、それが少なくなった今・・・という好酸球と同じパターンとなっています。
ちなみに肥満細胞も免疫に関わっていますが、「白血球グループ」には入っていない異端児のようです。
リンパ球チーム
T細胞
T細胞には、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、サプレッサーT細胞の3つがあります。トリオでお仕事をしているというわけですね。
この中で、ヘルパーT細胞がリーダーとなっています。ヘルパーT細胞は、マクロファージからの手紙を受け取って、他のメンバーに、
「こういう敵が現れたから対処しろ」
と、敵に関する情報を渡し、対処命令を出すんですね。
そして、Tチームの中での「兵力」は名前の通りキラーT細胞です。彼が細菌やウイルス、ガン細胞と戦います。
でも戦いが終わってもキラーさんは興奮して暴れてしまうことがあるので、それを抑えるのがサプレッサーT細胞ですね。
戦いが終わるとサプレッサーさんがやってきて、
「もう敵は片付きましたよ~」
と知らせると、キラーさんは、
「え? そうなの? じゃあ家に帰ろう・・・」
となるわけですね。
ちなみにリーダーのヘルパーT細胞は、Tチーム以外のB細胞やNK細胞にも命令を出します。
B細胞
ヘルパーT細胞から「こんな敵が来たぞ」という司令を受け取ると、その敵に合わせた抗体=武器を作るのがB細胞の役割です。
獲得免疫は「お勉強して専門家になる」ということでしたが、その中心がこのB細胞なんですね。
B細胞が敵について理解し、敵に合わせた武器を作ってくれれば、効果的に敵を排除することができます。
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)
NK細胞はリンパ球チームの中にありながら、「自然免疫」のお仕事をしています。専門家チームの中にいる何でも屋さんですね。
ヘルパーT細胞から指示を受けて働くこともありますが、いつも自発的に体内をパトロールして、自分の判断で敵をやっつけることも多いです。
特別な権限を与えられた「殺し屋」と言っていいかもしれません。
まとめ
ということで、最後にまとめておきましょう。
【単球チーム】
マクロファージ:異物を食べる。掃除をする。
樹状細胞:獲得免疫への伝令
【顆粒球チーム】
好中球:細菌や真菌を食べる
好酸球、好塩基球:対寄生虫、アレルギーに関与
【リンパ球チーム】
ヘルパーT細胞:司令塔
キラーT細胞:T細胞の兵力
サプレッサーT細胞:戦いの終わりを知らせる
B細胞:敵に応じた武器=抗体を作る
NK細胞:自ら見回りをし、敵を倒す
【社外スタッフ?】
肥満細胞:抗体の連絡を受けて戦いをサポート