作り話のような本当の話
大相撲の京都府舞鶴市巡業での事件。
土俵で舞鶴の市長さんが挨拶中に倒れてしまいました。
それで当然、救命措置が行われるわけですけど、そこに女性が混じっていました。
その時、会場に流れたアナウンスが、
「女性は土俵から降りてください」
という信じられないものだったと。
これ、初めて聞いた時、誰かが「ネタ」として作った話かなんかだと思ったんです。
だって・・・信じられないでしょ? ほんと、お笑いコントのネタみたい。
と思っていたところ・・・本当にあった話だと。^^;
つまり、作り話のようなことを、本気でやってしまったということですね。
これだけでも十二分に印象は悪いのですけど、さらに追い打ちをかけるように、救命処置が終わったあと、土俵に塩をまいたと。
これもまた、見方によっては「ひどい」というより「本当かよ!?」と思ってしまうような行動・・・だけどこれまた本当に本気にやってしまっているわけです。
大相撲協会の説明
大相撲協会側の説明としては、
「周囲の観客から上がった『女性を(土俵に)上げていいのか』という声に対し、行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫び申し上げます」
塩をまいたことについては
「女性蔑視の意図はなく、悪い事の連鎖を断ち切るためにまいた」
とのことです。
1つ目のことについては、たとえ動転しても、普通の人ならまずそんなこと言わないよね、という話。アナウンスを3回も繰り返したというんですから。
つまり、一般人と、あの世界とでは常識がまったく違うということです。
ギリギリの状況でそちらの選択をしたということは…
「若い行事が動転して言った」という話ですが、それが本当だとすれば、その若い行事はどう動転したのかというと、
「人が倒れた、どうしよう・・・」
→「救助が入った、これで大丈夫かな」
→観客の声を聞く
→「この場合、どうすれば?」
→「わからないけど、何か言っておかないと後で叱責されるかも」
と、ぎりぎり追いつめられたところで「降りてください」とアナウンスする方を選択したわけです。
ギリギリ追いつめられたところで選択されたということは、そちらの選択のほうがその世界では強固な常識だったということです。
他人事ではない
これは他人事ではなくて、自分の所属している集団・・・会社とか、地域とか、家族だってそうですが、そういう集団の「常識」も時には見直してみる必要があるということですね。
自分たちとしては「常識でしょ」と思っていることでも、外部から見ると明らかにおかしい、ということも有り得る話ですので。
やるにしても「やり方」を考えれば…
2つ目の塩をまいたことについては、これは・・・まき方がまずかったんでしょうね。^^;
「大量にまいた」
ということですので、目立つように盛大にまいてしまったということです。
これだと意図がどうであっても印象が悪い。
まあ意図としては、土俵上で倒れる人が出たのだから、その悪い流れが続いて、力士が怪我をしまくるようなことがあってはならない・・・
ということで塩で清めたのでしょう。
でもあのアナウンスの後に、盛大に塩をまいては、誰だって「女性をバカにしてるの?」って、思いますよね。
意図がどうであっても、やり方がまったくダメです。
せめてもっと、目立たないようにコッソリまくとかすればよかったんですよね。
そのへんもやはり、「まわりにどう見られようと自分たちの常識を通す」という、頑固さを感じてしまいます。
いちばん不思議なこと
もう一つ不思議なのは・・・
そんな、「女性を土俵にあげない」ことに強烈にこだわっているのなら、なぜ男性の救命員を十分な人数配置していないのかということ。
だって、相撲ですよ? 格闘技ですよ?
大怪我する人が出ることだって、想定されていて当たり前でしょう。
それなのにそれに対応する人が配置されていないというのは不思議で仕方ありません。
そこも常識の違いなんでしょうか。