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グリシンとは
グリシンはアミノ酸の一種です。
アミノ酸というのは、タンパク質のもとにもなるものですので、グリシンは筋肉にも皮膚にもたくさん存在します。
あの、肌の弾力を保ったりするコラーゲンを作るための材料にもなっています。
グリシンの副作用、危険性
それで先に、副作用について。
もともと体内にたくさんあるアミノ酸ですので安全性が高く、副作用はないと考えられています。
臨床試験では、1日50グラムのグリシンを長期間経口摂取しても、有害な影響は見られなかった、というものがあります。
50グラムって、相当なものですよね。^^;
粉末の、純粋なグリシンを50グラム・・・
どれくらいかイメージしてみると、角砂糖1個が3g程度ですので、その大きさの「角グリシン」を毎日16個食べると想像してみてください・・・
つらいですよね?^^;
それほどの量を長期間摂取しても、有害ではなかったということなので、安全性は高いのでしょう。
とはいえ、毎日非常識な量を摂取することはお勧めできません。サプリを利用するにしても、決められた量を守るようにしましょう。
グリシンの効果
では次にグリシンの効果について見ていきます。
睡眠に関して身体的に観察できたこと
まず睡眠に関するものから。
グリシンを摂取すると、深部体温、つまり身体の中の方の体温が下がります。
深部体温が下がると眠くなる、というのはよく知られたことです。
これに加えて、グリシンを取ると、セロトニンレベルが上がります。
セロトニンというのは、心の安定のために必要な物質で、かつ「睡眠ホルモン」であるメラトニンの原料にもなります。
それから。
グリシンを摂取すると、レム睡眠時の筋肉の動きが抑制されます。
これもまた、体温上昇を抑えてくれますし・・・それにゴソゴソと動かなくなるわけだから、眠りも深くなりやすいです。(笑)
以上は人間を対象にした観察ですが、マウスを対象にした実験であれば、
ノンレム睡眠の時間が増える
というものもあります。
簡単に言えば、レム睡眠というのは夢を見ている間のような浅い眠りで、ノンレム睡眠は夢を見ていない深い眠りです。
年齢が進むとこのノンレム睡眠が減ってしまって、「寝たはずなのに疲れが取れてないなぁ」ということが起こるようになります。
なのでこのノンレム睡眠を増やすというのは大事なことなんです。
以上が、グリシンを摂取した際の変化として、「外側から」観察してわかったことでした。
主観的な睡眠満足度と推奨摂取量
じゃあ「グリシンを飲んだ本人」はどういう変化を感じたのか?
・「考え過ぎ」からの解放
・疲労の改善
・眼精疲労の改善
・不安感低減
・集中力アップ
・記憶の改善
ということで、総じて睡眠に対する満足度がアップしています。
「考え過ぎ」というのは・・・布団に入って、いろいろと考えてしまって、なかなか寝付けないっていうあれです。
寝る前にグリシンを飲むと、考えすぎることも減って寝付きやすくなる、ということです。
ちなみに、良い睡眠を取るためのグリシンの摂取は
「寝る前に3グラム」
が推奨されています。
グリシンの効果は睡眠に対するものだけじゃありません。
アルコールの摂取が減り、肝臓を守る?
なんと、「アルコールの摂取を減らす」ことも、実験で明らかになっています。
なので「健康のためにお酒の量を減らしたい」という人にとっては、お酒も減らせる、睡眠の質も良くなる、ということで一石二鳥なのではないでしょうか。
ついでに、薬物依存も緩和してくれるということなので・・・薬物には多くの人は馴染みはありませんが、それと似たものとしてタバコ・・・つまり禁煙にも役立つのではないかという期待も持てますね。
ただ、薬物に関しては実験結果がありますが、禁煙に関しては実験されていないようです。
ちなみに、アルコールに関しては、アルコールの摂取量が減ったからなのか、それに加えて直接的な作用もあるのか微妙なところですが、
アルコールによる肝臓障害からの回復を早める
というエビデンスもあります。
以上は、「睡眠」「お酒」という多くの人に関係のある話でしたが、これら以外にも、以下のような事例や研究があります。
統合失調症の治療に使われてきた
まずこれは、研究というより既に治療として長年行われていることですが、統合失調症に対する「グリシン治療」があります。
グリシンの経口摂取によって、統合失調症の症状が改善されるということです。
ここからさらに、うつ病改善など、心の健康一般に有用なのではないかと期待されています。
細胞を守る、炎症を防ぐ
また身体への直接的な作用も確認されています。
グリシンには
・細胞保護作用
・抗炎症作用
があることは明らかになっています。
実際グリシンは、炎症の予防や治療にも利用されています。
グリシンを多く含む食品
最後にグリシンを多く含む食品を見てみましょう。
といっても、グリシンはアミノ酸、アミノ酸はタンパク質の原料だから、タンパク質を多く含む食品にグリシンも多い、ということになります。
ということで、肉、魚、大豆に多いです。
食品100gあたり、どれくらいのグリシンが含まれているか、例を挙げてみましょう。
豚ゼラチン…24000mg
大豆…3600mg
かつお節…3500mg
くるまえび…2600mg
湯葉…2400mg
高野豆腐…2300mg
いせえび…2200mg
うに…2000mg
しらす干し…1900mg
きな粉…1700mg
さざえ、うなぎ、ほたて…1700mg
牛、豚のひき肉…1500mg
にじます…1400mg
あわび…1200mg
鶏むね肉、皮…1200mg
牛レバー…1200mg
ずわいがに、毛ガニ…1100mg
まぐろ、たら、さば、かつお…1100mg
以上、グリシンの多い代表的な食品ですが、上記にないものでも、肉や魚であればだいたい1000mg前後含まれています。
卵はタンパク質豊富ですが、意外にグリシンは多くなくて480mgです。まあ、少なくもないですけど。
大豆はグリシンが多いですが、そのまま食べるわけにはいかないので高野豆腐が良さそうですが・・・これ、乾燥させているので100gあたりのグリシンが多くなってるんです。
だから、「普通に食べる状態」を考えると納豆がいいのかもしれません。
ただ、納豆にすると680mgに減り、木綿豆腐だと300mgに減ります。
「豚ゼラチンすごい」と思うかもしれませんが、これ、ゼラチンの粉末で計算しているのでこんなことになるんです。
豚ゼラチンの粉末を100グラムも食べることはできません。
かつお節もそうですね。これは乾燥して水分がなくなっている分、濃くなっているだけです。
食品だけから取るのが現実的でない理由
さて。
良い睡眠のために「寝る前に3グラム」のグリシンが推奨されるということでしたが、これ、食事から取るのはむずかしいのは明白です。
「寝る前に3グラム」のグリシンというのは、普通の食事に加えてこれだけのグリシンを摂取するということです。
普通に食事して、その上、寝る前にたとえばハンバーグ200グラム食べるとか・・・現実的じゃないです。
その上、吸収率の問題もあります。肉100グラムにグリシン1000mgが含まれているとしても、肉をしっかり消化してすべてのグリシンを吸収できるとは限りません。
ということで「寝る前に3グラム」のグリシンは必然的にサプリメントが良い、ということになります。