脂肪肝の原因、症状と治療

肝細胞と脂肪滴

皮下脂肪より落としやすい内臓脂肪

脂肪肝というのは、
現代の日本人に多い病気ということでしたが、
軽い状態であれば、特別な治療をせずとも
ちょっとダイエットするだけで改善されます。
なぜなら、内臓脂肪というのは
皮下脂肪よりもずっと落としやすいからです。
ダイエットをして体重はあまり減っていなくても
内臓脂肪は劇的に減っていたということは
珍しくないことです。

自覚症状のない脂肪肝

しかし、脂肪肝にはこれと言って自覚症状がないので、
どんどん悪化していく危険性もあります。
肥満という時点でそれを察知して
生活を改善するべきなのですが・・・

脂肪滴

改善もせずにそのまま悪化してしまうと、
肝細胞に脂肪の塊がこびりつき始めます。
これを脂肪滴といいます。
細胞の中にできる脂肪の粒のことですね。
細胞の中ということですので、内臓脂肪というより
異所性脂肪といったほうが正しいようです。

肝炎や肝硬変に進行することも

この状態が進むと、脂肪肝であっても
かなり肝機能が障害されることになりますので
早めの治療が必要になります。
脂肪肝であってもNASHと呼ばれる肝炎に
進展することがりますし、
肝細胞のバーンアウト現象が起きて
肝硬変につながることもありますので
軽視すべきものではありません。

日本人の脂肪肝の割合

日本人には脂肪肝が多い

脂肪肝は現代日本人には非常に多い病気と
なっているようです。それだけ食生活が
豊かになったということなのですが・・・
さて、多いと言ってもどれくらいなのか
気になりますけど、現在のところ
だいたい1500万人が脂肪肝だという
データもあります。

8人に1人が脂肪肝!?

1500万人というのは凄い数字ですね。
日本人の人口を1億2千万人とすると、
8人に一人は脂肪肝ということになります。

男性の多い脂肪肝

男女別ではやはり男性のほうが圧倒的に多いようです。
これは男性のほうが内臓脂肪が
つきやすいからなんですね。
女性は、余ったカロリーが、
内臓脂肪よりも皮下脂肪の方へ向かうので
助かっているんです。

ある生活習慣病検診の結果

男性の場合、生活習慣病健診で
腹部超音波検査を受けた人のうち
なんと4割が脂肪肝だったというデータもあります。
ちなみにその健診では、女性の脂肪肝は15%程度です。
これって日本全体の平均より高いじゃない!と思うかもしれませんが、
健診に来るような人たちが対象ですので、
数字が高めに出ているのでしょう。

脂肪肝予備群

また、脂肪肝でなくても
血液検査の結果、中性脂肪が多い、コレステロールが多い、
血糖値が高いということであれば
脂肪肝にもなりやすいわけですので
予備群も加えると非常に割合が高くなってしまいそうですね。

トマトジュースの13-oxo-ODAで脂肪肝予防(京大の研究)

トマトに関しては昔からリコピンの有益性が知られていましたが、
京都大学の研究によって、脂肪燃焼に役立つ
物質も含まれているということで
さらに注目されるようになりました。
その物質とは13-oxo-ODAというもので、
トマトよりもトマトジュースの方に
より多く含まれているということです。
実験の方法としては、肥満状態にあるマウスが用いられました。
そのマウスに対して、あるグループは普通の餌を与え
別のグループには0.02%ほど13-oxo-ODAをまぜた餌、
また別のグループには0.05%混ぜたものを与えました。
そうしたところ、0.02%混ぜただけで、
血液や肝臓の中性脂肪が約3割も減ったという結果になりました。
ちなみに0.02%と0.05%ではそれほど差がありませんので、
少しの13-oxo-ODAでもほぼ限界まで
中性脂肪を減らしてしまったのではないかと考えられます。
また脂肪酸を酸化する=脂肪を燃焼させる遺伝子も
13-oxo-ODAを与えたグループのほうが多くなっていました。
遺伝子レベルで働きかけていると考えられますね。
ということで、リコピンの抗酸化作用、
それからアルコールの分解を助ける作用に加えて
13-oxo-ODAの作用もあるということで、
トマトは肝臓に非常に良い食品と言えそうです。

脂肪肝と肝臓肥大

脂肪肝というのは肝臓に脂肪がたまってしまうことですが、
それによって肝臓が大きくなってしまいます。
脂肪によって腫れてしまうと表現した方がいいかもしれません。
健康な肝臓というのは重さが1キロ程度なんですね。
そのうち脂肪は2~3%しか含まれていないんです。
ところが脂肪肝になりますと肝臓は肥大してしまって
その重さは1.5キロ~2キロにまでなってしまいます。
1.5倍から2倍ということですのでものすごい巨大化ですね。
脂肪の割合は5%以上となります。
肝臓が肥大しているということは
肝細胞自体も肥大しているということです。
バルーン化と言ったりします。
つまり細胞自体が太ってしまって、
肝臓の中でギュウギュウ詰め状態なんですね。
それで血行も悪くなってしまって、
肝臓の働きが悪くなります。
中には壊死する細胞も出てきます。
さらに脂肪は過酸化脂質に変化して
周りの肝細胞を傷つけ続けることにもなりますし、
細胞のバーンアウトにもつながってしまいます。
そのまま進行すると肝炎や肝硬変にもつながります。
なのでここで是非とも改善しなければならないのです。

脂肪肝と摂取カロリーの計算

肝臓に脂肪がつくことを防ぐには、
脂肪を取らなければいいんだろうと考える人も
いるかもしれませんが、結局は、
摂取カロリーで左右されてしまいます。
カロリーの適正量を守らなければ
余った分は脂肪として蓄えられてしまうからです。
特に糖質と脂質ですね。
アルコールも脂肪を増やすもとです。
そして困ったことに、男性の場合は皮下脂肪より先に
内臓脂肪のほうが増えてしまいがちです。
さて、カロリーの適正量を知る方法として
標準体重から簡単に計算する方法があります。
まず標準体重は、(身長cm-100)×0.95で計算します。
そしてその標準体重に25~30の数字をかけたものが
カロリーの適正摂取量ということになります。
25~30というのは、日ごろあまり動かない人は25で、
仕事で結構動き回る人は30で計算するという感じです。
たとえば、身長170センチの人の場合、
上記の計算方法だと(170-100)×0.95=66.5kgが
標準体重ということになります。
今人がごく普通に仕事をしているとして、
カロリーの適正摂取量を計算すると、
66.5×28=1862キロカロリーとなります。

脂肪肝の改善のために

脂肪肝改善のためにはメタボ改善と重なるところもあります。
つまり生活習慣を改めていく必要があるということです。
もちろん栄養をバランスよく取ることは必要ですが、
脂肪肝改善のための食事の基本は
「高タンパク、高ビタミン、低カロリー」といわれています。
タンパク質はアミノ酸を摂取するためには必要なものですので、
動物性タンパク質を避けるのではなく
植物性のものとバランスよく取るようにします。
ビタミンは肝臓のみならず、体の色々な働きにとって
重要なものですね。
そしてカロリーは取り過ぎないように注意です。
余分なカロリーは脂肪となってしまいますから。
運動に関しては「適度に」実践することが重要です。
運動不足はダメですけど過剰もよくありません。
活性酸素が大量発生してしまいますので。
そしてできれよく眠ることが大切ですね。
特に肝臓の脂肪は眠っている間に減るものですから。

脂肪肝の自覚症状って

脂肪肝は肝臓の異常とはいえ、
病気としてはまだそれほど進んでいない状態です。
ただでさえ沈黙の臓器ですので、
脂肪肝ですと自覚症状がないことがほとんどです。
ですので前に紹介した肥満度で推測したり、
それから常習飲酒家であるかどうかで推測する他は、
血液検査の結果が頼りということになります。
肝臓の数値の中で基本になるのはASTとALTです。
これらの数値が高く、それに加えて
コリンエステラーゼ(ChE)の数値が高ければ
脂肪肝である可能性が高くなります。
ただそれだけでは確定はできませんので、
疑いが強いということになれば
精密検査をすることになります。

肥満度と脂肪肝

肝臓は沈黙の臓器といわれるくらいですので
脂肪肝であっても自覚症状がないことが多いです。
そこで、肥満度をもとに脂肪肝かどうかを
推測して見ることもできます。
これにはBMIという数字を使います。
計算方法は以下の通りです。
体重÷(身長の2乗)
体重はキログラム、身長はメートルで計算します。
この計算結果が30以上だった場合・・・
そういう人が4人いたらそのうち3人は脂肪肝です。
男性限定ですともっと確率は高くなるでしょう。
ですので男性の場合はBMIが30以上というだけで、
もう肝臓の精密検査をしたほうがよいということになります。
女性の場合は内臓脂肪より皮下脂肪の方がつきやすいので
確率は下がります。

脂肪肝の原因と予防

肝臓に脂肪がつくくらいいいじゃない、
と思うかもしれませんが、
人間フォアグラと言っている場合ではありません。
肝硬変や肝臓がんに進行する危険性もあるんです。
ということで原因を知って予防していきましょう。
とはいうものの原因は誰でも分かりそうなことですが
まずは偏った食生活ですね。
特に脂肪分。
ただ、脂肪分にかぎらず、糖分もタンパク質も、
とりすぎれば結局脂肪になってしまいます。
あとはお酒の飲み過ぎ。
アルコールが脂肪に変わるわけではありませんが、
アルコールを分解する過程で
脂肪のもともできてしまって
それが肝臓に溜まっていきます。
ですのでお酒も脂肪肝の原因です。
男女別では男性のほうが脂肪肝が多いです。
女性は皮下脂肪がつきやすいぶん、
男性に比べると内臓にはつきにくいということですね。
以上のことから予防法としては
当たり前のことですがバランス良い食事。
それからお酒は飲み過ぎないこと。
そして適度な運動と、十分な睡眠、
ということになります。

肝臓脂肪を減らす意外な話

肝臓脂肪を燃焼させるためには、
バランス良い食事と適度な運動というのはすぐに思いつきます。
脂肪分の多い食事は食べ過ぎ注意ですし、
アルコールだって肝脂肪のもとになります。
しかしここに意外な話があります。
普通、脂肪というのは活動することによって
燃焼するものですよね。
ところが肝臓の脂肪というのは
私たちが活発に動いている時よりも
眠っている間に燃えるというんです。
なぜそうなるのかといいますと、
脳が関係しているようですね。
脳は基本的には糖しかエネルギーにできません。
そして私たちが起きている間は脳が活発に
働いているので、当由来のエネルギーが必要です。
ですので起きている間は肝臓は主に脳のために、
糖を多めに扱うんです。
眠ってしまうと、脳でのエネルギー消費が減りますので
今度は肝臓は脂肪をエネルギーにすべく働くそうです。
ですので眠っている間に、肝臓の脂肪は減りやすいとのこと。
脂肪肝を予防するには、よい睡眠も大事なんですね。

脂肪肝 肝臓に中性脂肪が増えるとなぜ悪い?

脂肪肝が肝硬変や肝臓がんにつながるメカニズムについては
別ページでお話しました。ミトコンドリアを殺してしまう
という話でしたね。
しかし脂肪には別の危険性もあります。
そしてこれは肝臓だけでなく全身に関わることです。
細胞の中に入り込んだ脂肪を「異所性脂肪」ということがあります。
「皮下脂肪」「内臓脂肪」に続いて第3の脂肪とも言われるものです。
そしてこの異所性脂肪ですが、容易に過酸化脂質に変わってしまいます。
つまり、活性酸素と結びつくということです。
そうすると、その活性酸素の力で周りの物を壊し始めるんです。
そういうものが細胞の中にある、それが異所性脂肪の問題点です。
これによって細胞はどんどん傷つけられ、
遺伝子まで傷付けられるとがん細胞ができてしまう
もとにもなります。
脂肪肝というのはそういう危険も持っているわけです。

脂肪肝→肝炎→肝硬変→肝臓がん

脂肪というのは身体に必要なものですし、
単なるアブラだから別に溜まってもよさそうなものですが・・・
でもカモならフォアグラと呼ばれて珍重されますが
人間の肝臓はそうはいきません。
健康状態でも肝臓に脂肪が付いているのが普通ですが
それが5%をこえると「脂肪肝」と呼ばれて
異常事態となります。
さて、このまま体調が悪いだけならいいのですけど
肝硬変や肝臓がんという命に関わる病気に
進行していくこともあります。
肝細胞の中で脂肪が増えると、
細胞の中のミトコンドリアは脂肪を食べて
エネルギーに変えようとします。
しかし脂肪が多すぎるのでミトコンドリアは
疲れ果てて壊れていきます。
そうすると肝細胞自体も弱り、死ぬ細胞も増えてきます。
この状態が肝炎です。
さらに死ぬ細胞が増えると肝細胞の再生が追いつかず
隙間をコラーゲン繊維が埋めるようになります。
このコラーゲン繊維の割合が不可逆的なレベルに達した時
それは肝硬変と呼ばれます。
そしてさらに進むと肝臓がんということになります。