肝臓の検査方法

肝臓の検査~問診・視診・触診

まずは問診

肝臓の検査をする場合、血液検査をすぐに
思い浮かべますけど、それ以前に基本的な
検査として問診がありますね。
これは医師からいろいろ質問を受けて答えるだけです。
生活習慣についてとか、お酒の量とか、
手術や輸血の経験についてとか、
常用している薬についてなど
いろいろ質問されます。

視診~黄疸、血管腫、手掌紅斑、むくみ、腹水など

また、視診や触診というのもあります。
視診は皮膚などの状態を目で見て検査する方法ですね。
肝臓の病気による症状で見てわかるといえば
黄疸がありますし、その他にも血管腫や手掌紅斑、
体のむくみや腹水、あとは単純に顔色など、
いろいろあるものです。

触診

視診と同時に触診も行います。
これは目で見ながら手で触って確かめるというわけですね。
そしてもっと詳しい検査のために血液検査や
尿検査があり、更に詳しく調べるために
超音波診断やCT、MRIといった画像診断があります。
これらを総合的に鑑みて、どんな病気かを判定するわけです。

ソナゾイドを使った造影エコーで肝細胞癌を検査

肝臓のエコー検査というのは手軽に行える割には
いろいろと詳しくわかるので、健康診断でも
おなじみのものになっています。
ですが、それだけでははっきりわからない、
もっと超音波でもはっきりした映像がほしい
ということがあります。
そんな時には、ソナゾイドという造影剤を
用いることがあります。
造影剤というのは、簡単にいえば
写真とか映像のうつりをよくする薬ですね。
ソナゾイドは静脈に注射することで用います。
そうするとこれが血液に運ばれて肝臓にいたり、
肝臓の特定の細胞に取り込まれます。
一方、がんになっている細胞には
この造影剤は取り込まれません。
それで、単に超音波で映像を作るより
はっきりと肝臓の様子がわかるというわけです。
CTやMRIのような高価な機械を必要とせず
また検査を受ける方の肉体的負担も少ないということで
優れた方法だと考えられています。

肝生検の方法と痛み

肝生検というのは肝臓の一部を採取して
細胞を調べる方法で、外に取り出して直接見るわけですから
肝臓について最も詳しく調べることができる精密検査です。
しかし、体への負担が大きいので、
最近は画像検査が増えて肝生検は減る傾向にあります。
具体的な方法ですが、まず腹部エコーで
どの部分を切開して肝細胞採取の器具を挿入するかを決めます。
だいたいみぞおちの右のほうか脇腹になるようです。
その後、麻酔を打っていくことになります。
肝生検自体に痛みはないのですが、麻酔を打つとは
少々痛みを我慢しなくてはなりません。
麻酔がすんでしまえば後は感覚もなくなりますが、
途中、しばらく息を止めなければなりません。
呼吸で体内が動いてしまうと思わぬ部分を
傷つけてしまうおそれがあるからです。
肝生検が終わったあとも、4~5時間は絶対安静です。
この間は仰向けでじっとしておかなければなりません。
そうしないと出血してしまうおそれがあるからです。
読書でもして待っていればいいのですが、
4時間というのは非常に長いです。笑うわけにもいきませんし・・・。
ここもつらいところですね。
以上のような検査ですので外来では行われず、
入院時に限定されることになります。

肝臓精密検査の内容

血液検査でガンマGTPやAST・ALTその他の数値に
異常が見られた場合、その数値だけでどんな病気かは
断定できませんので、精密検査が必要になります。
精密検査の方法として一般的なのは、
まずは腹部エコー、つまり腹部超音波検査です。
これは内蔵に超音波をあてて反射させ、
それを映像化するだけですので、
体にとって非常に負担の少ない精密検査ですね。
それでもかなり詳しいことがわかります。
更に詳しく調べたい場合はCT検査やMRI検査
ということになります。
どちらも体の内部を映像化することができるのですが、
CTの場合はX線を使うのに対し、MRIは「磁気共鳴断層撮影」
ですので、磁気を利用して体内を画像化します。
なのでどちらかといえばMRIのほうが体への負担は少ないです。
CT検査は放射線に被曝することになりますので
妊娠の可能性がある人は注意しなければなりません。
ここまでは体に傷を付けなくてよいのですが、
さらなる検査として血管造影検査というものもあります。
これはカテーテルで肝臓の血管に造影剤を入れて
その上でX線撮影をするというものです。
造影剤のお陰で血管の様子がはっきりと分かります。
さらに体への負担が大きいものとなりますと
腹腔鏡検査があります。これは体に小さい穴を開けて
内視鏡を挿入して肝臓を直接見る方法です。
そして肝生検という方法もあります。
これは肝臓の一部を切り取って調べる方法で、
腹腔鏡検査と同時に行うこともあります。
最も詳しく調べることのできる方法ですが、
体への負担は最も大きいものとなります。

肝臓がん腫瘍マーカー AFP、PIVKA-II、AFP-L3分画

ガンマーGTPやAST、ALTは何らかの肝機能障害があれば
数値が高くなるのですが、それがいったいどんな病気なのかは
これら数値だけでは特定することができません。
血液検査の中でも、特に肝臓がんの可能性を
探れるものとして肝臓がんの腫瘍マーカー検査
というものがあります。
肝臓がんになると、
血液中で特定のタンパク質が多くなりますので
これらの数値が高くなれば、
肝臓がんである可能性が高くなるというものです。
たとえばAFPという数値がありますが、
これは肝臓がんだけでなく肝硬変や慢性肝炎でも
上昇します。
しかしAFP-L3分画という数値が高い場合は
肝がんである可能性が非常に高くなります。
またPIVKA-IIというマーカーが高い場合も、
肝臓がんである可能性がありますが、
たんなるビタミンK欠乏ということもあります。
どの腫瘍マーカー検査にしても、
肝臓がんである可能性は示唆しますが
確定することはできませんので、
その後に超音波検査などの精密検査が必要になります。

C型/D型/E型 肝炎ウイルスマーカー検査

引き続き、ウイルス性肝炎に感染しているかどうか
調べるための肝炎ウイルスマーカー検査を
紹介していきます。
今回はC型、D型、E型についてです。
【C型肝炎】
HCV抗体
C型肝炎ウイルスに感染したかどうかがわかります。
これがマイナスの場合はこれまで感染したことがない
ということになります。
プラスの場合でも数値が低い場合は、
過去に感染して現在は消えていると考えられます。
プラスで数値が高い場合は現在進行中だと考えられます。
プラスの場合は次の検査も行います。
HCV-RNA
これはC型肝炎の遺伝子なのですけど、
これがプラスだと現在感染していることが確定します。
【D型肝炎】
IgM-HDV抗体
IgG-HDV抗体
どちらもマイナスですと、
これまで一度もD型肝炎ウイルスに感染していないことになります。
IgM-HDV抗体がプラスですと急性肝炎、
IgG-HDV抗体がプラスですと慢性肝炎の疑いがあります。
その場合は次の検査も行います。
HDV-RNA
D型肝炎ウイルスの遺伝子ですが、
これがプラスですと肝炎は現在進行中ということになります。
【E型肝炎】
IgM-HE抗体
IgG-HE抗体
どちらもマイナスですと、
これまで一度もE型肝炎ウイルスに感染していないことになります。
IgM-HE抗体がプラスですと最近感染したことになり、
IgG-HE抗体がプラスですと感染して時間が経っていることになります。
どちらかがプラスの場合は次の検査も行います。
HEV-RNA
E型肝炎ウイルスの遺伝子ですが
これがプラスですと肝炎は現在進行中です。

A型/B型 肝炎ウイルスマーカー検査

ウイルス性肝炎に感染しているかどうかを調べる
有力な検査方法として、ウイルスマーカー検査
というのがあります。
それぞれのタイプについて紹介してみましょう。
【A型肝炎】
IgM-HA抗体
この抗体がプラスだと急性肝炎発症中です。
IgG-HA抗体
こちらの抗体がプラスだと、A型肝炎ウイルスへの
中和抗体ができていることになり、
もう感染するおそれはないことになります。
【B型肝炎】
HBs抗原
これはB型肝炎の表面に存在するタンパク質で
マイナスだとこれまで一度も感染したことがないことになり
プラスだと感染経験があるということを示しています。
HBe抗原
これがプラスだとウイルスが体内で元気に活動中ということになります。
HBe抗体
これがプラスだと感染後、抗体ができて
ウイルスが弱ってきていることを示します。
HBV-DNA
B型肝炎ウイルスの遺伝子のことで、
ウイルスがどれくらい体内にいるかを調べることができます。

慢性肝炎の症状はわかりにくい

肝臓は沈黙の臓器なんて呼ばれますが、
慢性の肝炎になっていても気づかない人もいる
といいますので驚きます。
肝臓の病気のスタートは急性肝炎がありますが、
それが半年も続くと慢性肝炎と呼ばれます。
半年も続いているのに「なんとなく体調が悪い」程度で
ひどくなるまで気づかないこともあります。
黄疸が出てきて初めて疑いを持つなどということもあります。
しかし、病気自体は軽いものではなく、
そのままだと肝硬変や肝臓がんなど
致命的な病気に進行することもあります。
気づくためには定期的な健康診断は大事で
血液検査の結果には敏感になっておかなければ
なりません。

腹部血管造影検査

血管に造影剤を入れるといいますと点滴を用いる
DICというのもありますが、それだと造影剤が
分散してしまいがちです。
そこでもっと目的の場所にしっかり造影剤を
送り込みたいという時にはカテーテルを用います。
肝臓の検査では腹部血管造影と言ったりします。
脚の動脈に穴を開けて、そこからカテーテルを入れて
先端を肝臓まで持っていくわけですね。
なんだかすごい作業です。
そうしてそこで造影剤を注入します。
そうすると詳しいX線撮影ができるというわけ。
でもそれだけではもったいないですので、
可能ならそのまま手術を行うこともあります。
それができれば開腹手術に比べて
ずっと少ない負担ですみますね。
とはいうもののやはり動脈に穴をあけて
そこにカテーテルを通していくわけですので・・・
入院は必要になります。

肝臓の腹腔鏡検査と手術

肝臓の様子を詳しく見るためには、
直接目で見るのがいちばんなのですけど、
昔は開腹手術でもしない限りそれは無理でした。
ところが現在は腹腔鏡というもので
直接肝臓をカメラに映して観察することができます。
とはいうものの、口から飲んだり
お尻から入れたりするカメラと違って、
体の一部を小さく切開する必要があります。
何ヶ所かに穴を開けるというわけです。
そこからカメラ付きの管を入れて
肝臓を見るというわけです。
そして管の先端にはカメラだけでなく
いろいろな器具も付属しています。
それを使って肝臓の組織を取ってきて
それを詳しく調べることもできます。
また、問題が小さければ、
そのまま腹腔鏡手術ということも可能です。
開腹手術に比べれば体の負担も費用も
小さいものですみますけど、
やはり入院は必要となってしまいます。

経口胆道造影とは

胆道の様子をX線でわかりやすく撮影するために
造影剤を用いるわけですけど、内視鏡を飲むのは大変ということで
造影剤自体を飲む方法もあります。
それを「経口胆道造影」といいます。
ただ、飲んだからといってそれが直接胆道に
吸収されることはありません。
十二指腸には胆道からの出口しかありませんからね。
入り口はありません。
じゃあどこから胆道に届くのかというと、
腸から吸収されて、それが門脈を通って肝臓に届き、
そして胆道に分泌されることで
やっと目的地に到達ということになります。
胆道は胆汁の通り道ですが、途中の胆のうで濃縮されます。
ですので経口胆道造影の場合も、
胆のうに造影剤がたまりやすく、
胆のうの様子を調べやすい方法となっています。

DIC検査は造影剤を飲まない

同じ造影剤を用いた検査でも、
ERCPのほうは口から内視鏡を入れて
内視鏡から造影剤を流しこむので・・・苦しいです。
DIC検査の方は、点滴を用いて造影剤を入れますので
ERCPよりは楽なんです。
ただ、ERCPと違って、胆管の中ではなく、
血管の中に造影剤を入れることになります。
肝臓は、外部から取り込まれた栄養であれ毒物であれ
処理する器官ですので、静脈中に注入された
造影剤も取り込んでしまいます。
それで肝臓の様子がX線で撮影しやすくなります。
この検査も検査前6時間は
食事をとってはいけないことになっています。

MRCP検査とは 方法と食事制限

内視鏡を飲んで、そこから胆管や膵管に造影剤を流しこんで撮影・・・
というのがERCP検査でしたね。これは体への負担が大きいんです。
それで今はもっと負担の少ない方法として
MRCP検査というのがあります。
これはMRIを利用してERCPと同じような検査をする方法です。
MRIというのはX線ではなく磁気を用いて
映像を作るものですので、体への負担も少ないです。
ただやはり食事制限はあります。
食事が映像の邪魔になるからです。
午前中の検査だと、その日は朝から何も食べられません。
午後の検査ですと朝食は午前8時までに食べます。
量も普段の半分までにします。
また、午前午後共通ですが、
検査の4時間前からは水分もとってはいけません。
それからタバコも吸ってはいけません。

ERCP検査 内視鏡はつらいよ…

血液検査で、肝臓に関して何か病気を推測させる数値が出たら・・・
精密検査の一つとしてERCP検査というのがあります。
正式には「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」検査といいます。
まあ、そんな名前はいいですね・・・
胃カメラならぬ十二指腸カメラを飲みます。
そして、十二指腸に達した所で、
肝臓や膵臓から十二指腸まで伸びてきている胆管・膵管に
造影剤を流し込みます。
そうすることでX線により写りやすくなり、
胆管や膵管の様子を詳しくみることができるようになります。
それに加えて、結石を見つけた場合、
先端に付いている器具でそのまま取り除くことが
可能なこともあります。
ただデメリットとして、造影剤のせいで
内蔵に負担がかかってしまうことです。
ですので入院が必要になりますし、
食事制限もあります。

肝臓のMRI検査

CTとの違い

肝臓の精密検査の方法としてMRIというのもあります。
これは日本語では「磁気共鳴断層撮影」といいます。
・・・・って、日本語だとなんだか難しいですね。
要するに、体内の水分に磁気を共鳴させて、
その様子を撮影してコンピューター処理して映像化・・・
ということのようです。
CTスキャンと何が違うのかというと、
MRIはX線を使わないということです。

放射線被曝の心配がない

だから、放射線の害が気になる場合で、
CTが心配な場合でもMRIなら問題なく使えるということですね。
例えば妊娠している可能性がある場合とかです。

MRIはいろいろな角度を撮影できる

あとは、CTは輪切りの断面写真しか撮れないそうですけど、
MRIだといろいろな方向から切った写真が撮れるので
より詳しく調べやすいです。
これで肝臓の病気、脂肪肝や肝硬変や肝臓がんなど、
それから胆道系の病気、結石などもはっきりわかります。

MRAという検査もある

MRIに似たものとして、MRAという検査もあります。
こちらは日本語で磁気共鳴血管撮影といいます。
つまり血管をはっきり撮影するためのMRIといった感じですね。
これですと、血管の様子がはっきりわかりますので
静脈瘤などもみつけやすいです。

肝臓のCT検査

超音波検査より詳しく

血液検査などで肝臓に何か異常があるかもしれない・・・
ということになったら、精密検査を受けるべきですが、
代表的なものとしてCT検査があります。CTスキャンですね。
あの、体を輪切りにした写真が取れるあれです。

X線を用いた検査

どうやってとるのかというと、X線を用います。
X線を体に通過させて、その通過量をコンピューター処理して
画像化します。
まったく、100年前の人が見たら魔法かと思うでしょう。
非常に詳しく体の中を見ることができますので
ほとんどの肝臓ぼ病気はこれではっきりと分かります。

CTスキャンの注意点

ただ、X線を使いますので、
妊娠している可能性がある女性には
使わないほうが良いとされています。

赤ちゃんに影響するかもしれませんからね。

CTスキャンのX線被ばく量

CTのX線被ばく量については、かなり大きいものとなります。
これは医学的には安全とされているのですが
危険視する声が多いのも事実です。
ですのでCTを用いるにしても最小限に抑えたいものです。
MRIであれば放射線は用いませんので、
放射線被曝の心配がありません。
できればMRIがある病院を選びたいところですね。

肝臓の超音波検査で何がわかる?

負担のかからない精密検査

肝臓の数値で心配な数字が出た場合は、
精密検査を受けることになるでしょう。
ただ精密検査にも大変なものから楽なものまでいろいろあります。
そしてこの超音波検査は最も楽なものの一つと言っていいでしょう。
超音波を当てるだけですからね。
科学の進歩はありがたいものです・・・

お腹の赤ちゃんにも害がない

超音波を送受信する装置を体に押し当てて、
そこから得られた情報をコンピューターで映像化します。
妊娠検査でも使うものですので体に負担はかかりません。
その割に結構詳しくわかります。
特にわかりやすいのは肝臓がん胆道がんと結石のようです。

超音波エコーの注意点

気をつける点としては、前日の21時から検査が終わるまで
何も食べてはいけないということです。
超音波が食べ物に反応してわけがわからなくなってしまいます。
ですので水かお茶なら大丈夫です。
超音波検査で何か怪しいものが見つかれば
さらなる精密検査でそれをはっきりさせていきます。

さらなる精密検査とは

更に細かく調べたい場合の精密検査として、
CTやMRI、内視鏡による検査、肝生検などがあります。
この中ではMRIは体への負担はありませんが
それ以外は注意しなければならないことが多い検査となります。