肝硬変の症状、合併症、治療

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食道静脈瘤・胃静脈瘤の治療・手術

肝硬変が原因となって、
食道静脈瘤や胃静脈瘤ができてしまうこともあります。
これは、肝硬変によって肝臓に血液が通りにくくなり、
行き場のなくなった血液が食道や胃のまわりの
静脈に殺到するからでしたね。
静脈瘤が大きくなって破裂でもしてしまったら
肝硬変で弱っている体に更なるダメージと
なってしまいますので、早めの治療が必要です。
ただ、場所が食道や胃ですので、
体を切開しなくても手術できるのが
救いといえば救いです。
まず、静脈瘤が小さいうちでしたら、
口から内視鏡を入れて、その先端から
静脈瘤に薬を注入することで固めてしまい、
破裂を防ぐという治療ができます。
これを「内視鏡的硬化療法」といいます。
大きくなってしまった場合は、もっと根本的に
取り除くことを考えますが、これも内視鏡手術で可能です。
「内視鏡的結紮(けっさつ)療法」といって、
静脈瘤の根本をきつく縛ってしまう手術です。
そうすると、静脈瘤にこれ以上栄養は運ばれなくなりますので
自然に壊死して分解されることになります。

肝硬変の治療

肝硬変の治療というのは非常に困難なのですが、
根気よく治療を続けることで改善する場合もあります。
また、肝臓の移植も視野に入ってきます。
治療法としてはまず、肝硬変になった原因は
取り除かなければなりません。
例えばアルコールの摂取はやめる、
食生活を改善するという当たり前のこともありますし、
ウイルスが原因になっている場合は、
抗ウイルス薬を使ったり、インターフェロンを
使ったりします。
それに加えて、合併症の治療も行わなければなりません。
例えば肝性脳症については、
体内のアンモニアを減らす処置をしたり、
アンモニアのもととなるタンパク質摂取を控えたり
という手段が取られます。
腹水の改善のためには、
アルブミンを増やすための薬剤(分岐鎖アミノ酸製剤)を
用いたり、利尿薬を用いたり、また塩分摂取を抑えたり
という手段が取られます。
食道や胃の静脈瘤に対しては、
破裂を防ぐための手術(内視鏡的結紮療法、内視鏡的硬化療法)が
行われます。
しかしどれも直接肝硬変をどうこうするものではなく、
原因と症状を抑えることで肝臓の再生を
促すものに過ぎません。

肝硬変の合併症

肝硬変になると様々な肝機能が失われますので
それによっていろいろな合併症がひき起こされます。
有名なものとして腹水とか足のむくみがあります。
肝臓はアルブミンというタンパク質を作っているのですが、
肝機能が失われることでアルブミンが不足していきます。
アルブミンは血中にあって、細胞との水分のやりとりを
調節していますので、これが不足すると水分調節が
うまくいかなくなります。
その結果として腹水がたまったり浮腫が出たりします。
次に肝性脳症ですね。
これは肝臓にはアンモニアを分解する働きがあるのですが
その働きが失われ、有害なアンモニアが脳に達してしまった
結果です。意識障害が現れたりします。
食道静脈瘤、胃静脈瘤ができることもあります。
これは、肝硬変によって肝臓に血液が通りにくくなり、
かわりに胃や食道の静脈に血液が押し込められてしまうことで
静脈にコブができてしまうという現象です。
静脈瘤が破裂すれば吐血をすることもあります。
そしてこれらの合併症が出た場合、
肝硬変は既にかなり進行していると判断できます。

肝硬変重症度のChild分類(チャイルドピュー分類)

代償性肝硬変が軽度、非代償性肝硬変が重度
ということでしたけど、もう少し細かく
肝硬変の重症度を判定するものとして
Child-Pugh分類というものがあります。
これはこの分類法を考案した二人の学者の名前をとって
名付けられたものです。
さて、分類法ですが以下の5つの観点から
得点を計算していきます。
肝性脳症
なし・・・1点
軽度・・・2点
昏睡あり・・・3点
総ビリルビン値(mg/dl)
2未満・・・1点
2以上3以下・・・2点
3超・・・3点
プロトロンビン時間(%)
80超・・・1点
40以上80以下・・・2点
40未満・・・3点
腹水
なし・・・1点
少量・・・2点
中等量以上・・・3点
血清アルブミン(g/dl)
3.5超・・・1点
2.8以上3.5以下・・・2点
2.8未満・・・3点
以上の得点を合計します。
そして6点以下なら判定はAとなります。
肝機能はよく代償されている、ということになります。
7点から9点だと判定はBです。肝機能が低下しています。
代償性肝硬変から非代償性への過渡期です。
10点以上ですと判定Cとなります。非代償性肝硬変です。
BまたはCですと手術をしても失敗が多いと言われています。
ですので他の方法でAの状態に戻してから手術をすることになります。

代償性肝硬変と非代償性肝硬変の定義

肝硬変というのが肝臓の線維化が進んで
既に自力で修復できなくなった状態を指します。
同じ肝硬変でも、まだかろうじて
肝臓としての機能を保っている場合は
代償性肝硬変と呼ばれます。
自覚症状は出ないことが多く、
出たとしても風邪と間違えてしまうようなものです。
肝硬変としては軽度、と考えていいでしょう。
しかし症状が進んでしまって、いろいろと現れてくると、
これは非代償性肝硬変と呼ばれます。
症状というのは例えば黄疸や腹水・足のむくみ、
クモ状血管腫や手掌紅斑、女性化乳房、
また肝性脳症などが有名です。
これらに当てはまる場合はかなり重症と考えられます。
胆汁やタンパク質の合成ができなくなっていたり
ホルモンの調節や有害物質の分解が
できなくなっていたりということを示すからです。
つまり肝臓としての機能が失われているということです。

食道静脈瘤・胃静脈瘤の原因は肝硬変?

これは酷い例ですが、肝硬変の症状として
大量に吐血したり血便が出たりということがあります。
これは食道静脈瘤や胃静脈瘤が破裂してしまったことが原因です。
ではなぜ肝硬変でそんな場所に
静脈瘤ができるのかということですね。
肝硬変というのは肝細胞が死んで、
そこが線維組織に置き換わってしまうということが
非常に広範囲で起こっている状態です。
それで肝臓が硬く萎縮してしまうというわけですが、
そのため血流も悪くなっています。
なので本来なら門脈から肝臓に入る血液が、
肝臓に入れないため消化器官に存在する静脈に
むりやり押し込まれることになります。
それで静脈が圧迫され続けると
静脈に瘤ができるというわけです。
しかもそれが破裂して吐血までするということは
非常に危険な状態だといえます。
すぐに病院に行かなければなりません。

肝硬変の自覚症状

肝臓の病気はとかく自覚症状がなくて気づきにくいもので、
ひどい症状がでた時にはもう病気がかなり進行している
ということが多いです。
また、自覚症状があったとしても風邪などの軽いものと
間違えられることがあります。
ということで注意してみていかなければなりません。
では肝硬変の自覚症状ですが、お酒が好きだったのに
お酒が飲みたくないと感じるようになる、
というのがあります。
これは肝臓の働きが悪くなることで
自然にそういう反応になってしまうんですね。
同様に食欲がなくなって痩せてしまうということもありますが
これは何も肝臓に限らないことですね。
また、痔になってしまうということもあります。
これは肝硬変によって静脈の血行障害が
引き起こされることがあるからです。
また、よくある症状として体がだるい、
いつも疲れている気がする、ということもあります。
夜眠れないという症状が出ることがありますが、
これは肝硬変によって引き起こされた
肝性脳症が原因になっていることがあります。
以上のようなことがいくつか重なるようなら、
すぐに病院に行って検査してもらったほうがいいです。

肝硬変と肝性脳症の原因

肝硬変が悪化しますと、肝性脳症と言って
脳に障害が出てくることが多いです。
肝性脳症の原因としては、
肝硬変の結果、肝臓でアンモニア等の毒物が分解されなくなってしまい
それが脳にダメージを与えるからだと考えられています。
また、通常は血液脳関門が脳へ毒物が入り込むことを
シャットアウトしてくれるのですが、肝硬変を患うと
その機能も弱まってしまうようです。
また肝硬変を患っていると、便秘程度のきっかけでも
肝性脳症が引き起こされてしまうことがあります。
肝性脳症は、昏睡度によってその症状の重さが
分類されています。昏睡度には5段階あります。
レベル1
睡眠リズムが逆転する。躁鬱質になる。だらしなくなる。
レベル2
言動がおかしくなる。場所や時間がわからなくなる。
レベル3
ほとんど眠っているが、ときどき興奮状態、せん妄状態になる。
レベル4
意識を失う。痛みには反応する。
レベル5
まったく反応しなくなる。

肝硬変の症状

肝硬変の自覚症状も、肝炎と同じく風邪に似ているところがありますので
特に軽度の場合は気づかないことも多いようです。
その場合の自覚症状としては、食欲がないだとか体がだるいとか、
あとは吐き気や下痢などもあります。
ただこういった症状はよくあることですので、
それでまさか肝硬変とは気付けないと思います。
肝硬変は何年かかけて進行することが多いですが
もっと進みますと症状もわかりやすくなります。
つまり、肝臓の病気特有の症状である黄疸が出るということです。
ここまで来れば誰だって肝臓の異常を考えるでしょう。
そうなれば精密検査で明らかにされることも多いでしょう。
重症になりますと、腹水が溜まったり意識障害がでたり、
吐血することもあります。
普通肝臓の病気ですとASTやALTが高くなってしまうのですが、
肝硬変ですと、肝細胞が減ってしまっているため
ASTやALTがそれほど高くならないんです。
ASTやALTはもともと肝細胞に存在する酵素なので、
その元になる細胞自体が減ってしまっては
それほど多くなりようがないということですね。
それで何をみるのかといいますと、血清アルブミンとか
コリンエステラーゼなどをみるということになります。
これらが低すぎると要注意です。

肝硬変の原因

肝硬変の原因としては、大半がウィルス性のものと言われています。
意外かもしれませんけど、アルコール性のものは少数派なんです。
これは、肝炎の原因の8割がウィルスといわれていることから
推測できるものでもあります。
急性肝炎から慢性肝炎、そして肝硬変に進行することが多いですからね。
ただ、だからといってアルコールが原因にならないわけではありません。
欧米ではアルコールが原因となる肝硬変は非常に多いと言います。
また、脂肪肝から肝硬変に進行する可能性もあります。
脂肪肝の原因としてはアルコールも大きいですので
これも注意しなくてはなりません。
その他の原因としては、有害な物質が肝臓にたまったこととか、
栄養不良、それから稀な例としては寄生虫が原因になることもあるようです。
何が原因になるにしても、肝細胞の破壊が進むことで
肝硬変が引き起こされるというのは同じですね。

肝硬変とは

肝炎から肝硬変に進むともう取り返しがつかないといいますが
そもそも肝硬変とはどんな状態なのでしょうか。
肝臓が硬くなるとはよく聞かれますが、
これは肝細胞が死にすぎた結果なんです。
肝臓は再生力に優れていますので、
ある程度肝細胞が壊れてしまっても元に戻ります。
しかし肝臓へのダメージが大きいと元に戻ることが
できなくなります。
そうなると、細胞が死んだ隙間に、コラーゲン繊維が
入り込んできます。
コラーゲンというとぷるぷるしたイメージがありますが、
繊維ですのでこれがびっしりと入り込んでしまうと
肝臓は硬くなるのです。
しかも細胞以外のものが入り込むわけですので
肝臓はもう肝臓としての機能を果たせなくなってしまいます。
それで命の危険があるというわけです。