腸内環境の先生といえばこの人、藤田紘一郎さんの本で「脳はバカ、腸はかしこい」という本を読んでみました。
内容は色々と興味深いのですが、特に驚いたのは、
「乳酸菌を取ると幸せを感じやすくなる」
ということ。
「えっ?」って思いますよね?^^
乳酸菌で「前向き人間」に?
まあ、乳酸菌を取れば健康にいいだろうということは、いまどき誰でも知っていることです。
で、その結果、健康だから幸せ、ということもありますが、それ以外にダイレクトに、脳自体が「幸せ」を感じやすくなるらしい。
つまりこれって、「前向きな人間」になれるということですよね。
「乳酸菌」と「前向き人間」「プラス思考」・・・ちょっとこれらを、すぐに関連付けることは難しい・・・「関係ないでしょ」って思ってしまう人が大半ではないでしょうか。
でも、関係あるんです。
どう関係あるのか、ということを、藤田紘一郎さんの「脳はバカ、腸はかしこい」で見ていこうと思います。
豚に真珠、ではなく乳酸菌
中国科学院の教授が、「ブタに乳酸菌を与える」実験をしているという話が出てきます。
中国科学院というと、科学に関しては中国最高の研究機関だそうです。日本でいうとどこでしょうね。理化学研究所とかにあたるんでしょうか。
で、そこの教授が、ブタに乳酸菌を食べさせている。
それで、ブタにどう影響が出るか、いろいろな視点から観察しているといいます。
そうしたところ・・・肉が美味しくなった。(笑)まあ、それはありそうですね。ブタが病気にかかりにくくなった。それもあるでしょう。
でも、ブタの性格まで変わったといいます。ブタがですね、おとなしくなったと。ブーブー文句ばかり言わなくなったと。
いや、ブーブー文句は冗談として、とにかくブタの性格が穏やかになったそうです。
これどういうことなの?と思いますよね。乳酸菌を食べさせただけで、おとなしくなるなんて。じゃあうちの子にも食べさせようかななんて思いますよね。(笑)
教授によると、乳酸菌によって、セロトニンとかドーパミンという、脳内伝達物質が増えたからだとのこと。
セロトニンとドーパミンの違い
ここで。
「セロトニンとドーパミンってどうちがうの?」
と思った人もいるかもしれません。
どちらも脳内の伝達物質で、脳の中である種の情報を伝える役割を果たしています。
脳内でセロトニンが増えますと、不安を感じにくくなり、安心を感じやすくなります。
ドーパミンが増えますと、やる気がでたり、何かを好きになりやすくなったりします。
どちらも「快」であることには変わりありませんが、セロトニンの方は「穏やかな喜び」、ドーパミンの方は「激しい喜び」に関係していると言って良さそうです。
乳酸菌を取ると幸せを感じやすくなる仕組み
それでこのセロトニンとドーパミンが、乳酸菌を取ることで増えると。これはいったいどういうことなのか。
実は、セロトニンとドーパミンは腸で作られているんです。それで、腸内環境がよく保たれていると作られやすいということなんですね。
つまり、乳酸菌を取ることで、腸内細菌の中でも善玉菌が増える、その善玉菌が、セロトニンやドーパミンの合成になくてはならない働きをしている、というわけ。
特にセロトニンに関しては・・・なんと、体内にあるセロトニンの9割は腸に存在しているとのこと。ちなみに、残り1割のうち、8%は血液中にあり、2%が脳にあります。
たった2%で私たちの幸せが左右されます。(笑)
でもここで一つ困ったことがあります。
でも、脳に入っていけるの?
「セロトニンやドーパミンはそのままでは脳に入っていけない」
ということ。いくら腸で作られても、血液に乗って、脳に入ろうとしたところで、脳関門の「検閲」に引っかかって、入れてもらえないんです。
でも。
ここでもなんと、腸内細菌が活躍してくれます。腸内細菌の力で、セロトニンやドーパミンは「前駆体」という、脳関門を通れる形に変えられるというんです。
セロトニンやドーパミンに変装させて、脳関門にいる「門番」好みに変えてしまうわけですね。で、「通ってよし」ということになる。
そして脳に入ったあとは変装を脱ぎ捨てて、元のセロトニン、ドーパミンに戻って活躍します。
つまり、腸内細菌は、セロトニンやドーパミン自体を作るのにも活躍するし、それを脳に送り届ける形に変えるためにも活躍しているということ。
二重に活躍しているということ。
だから、乳酸菌を取れば善玉菌が増え、それによって、脳に届く形に変えられたセロトニン、ドーパミンが増え、脳が幸せを感じやすくなる、ということです。
ということで、腸内細菌、なかでも善玉菌を元気にしてやれば、幸せを感じやすくなる、ということがわかりました。
意外なものが腸内環境改善に役立つ
じゃあどうやって善玉菌を増やせばいいの?ということになりますが、乳酸菌やオリゴ糖や食物繊維を取るということは、多くの人が知っていることと思います。
でも、さすが藤田紘一郎さん、それ以外の食品も教えてくれています。
それが「エキストラバージンオリーブオイル」です。
あの、低温で搾ったオリーブオイルですね。
これ、抗酸化成分が多く含まれて、腸内が活性酸素によって荒らされるのを防いでくれるそうです。これによって腸の健康が保たれ、善玉菌が増えやすくなるということですね。
悪循環を避けるための「両面作戦」
さて、腸内細菌とセロトニン、ドーパミンといった「幸せ物質」の間には、もう一つ、見逃してはならない問題があります。
私達が強いストレスを受け続けると・・・なんと腸内の善玉菌が減り、悪玉菌が増えてしまうというんです。
これは阪神淡路大震災の被災者を調査した研究結果でもわかっていることです。
ということは・・・
強いストレスを感じ続ける
→善玉菌が減る
→「幸せ物質」が減る
→さらにストレスを感じやすくなる
→強いストレスを感じ続ける・・・繰り返し
という悪循環が発生しうるということですね。
これは恐るべき事態です。
なので、「幸せを感じやすい」「安心感を得やすい」人になるためには、腸内環境の改善だけでなく、心自体も、改善するよう努力した方がいいということですね。
つまり、腸と心、両側から働きかけていこうということです。両面作戦です。
腸に働きかける方法は上述しました。
ではもう一方の心自体に働きかけていく方法は?
これに関しては本当にいろいろな方法があるのでしょうが、有力なものの一つとして「瞑想」があります。
瞑想というと宗教的なものと決めつけて頭から否定する人もいますが、今では多くの人がその有効性を認めています。
グーグル社やアメリカ国防総省でも取り入れられているくらいです。
なので、心の安定を得るために、腸内環境に気を配るとともに、瞑想にも取り組んでみてはいかがでしょうか。